令和5年度から始まる広島県新公立入試を、現行のシステムと比較しながら解説

令和5年度から始まる広島県新公立入試を、現行のシステムと比較しながら解説

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令和5年度の広島県公立入試の記事

昨年の12月に大まかな実施要項が完成した、令和5年度の公立入試。2020年4月段階で中学1年生以下のお子さんをお持ちの方にとっては、重要なトピックスですが、まだ先過ぎてイマイチぴんと来ていないかもしれません。
このトピックについては実は何度か記事にしているのですが

今回は、現行のシステムの入試についてある程度詳しい方(ご自身で広島公立入試を受検した方・お子さんや親戚などが受検している方・広島で塾をされている先生)向けに、現行のシステムと対比させた形で、新システムを解説しました。
もう、「別の県の入試」といってもいいくらい変わっています。

20年以上ぶり、総合選抜を廃止して単独選抜に移行したとき以来のフルモデルチェンジです。その後は学区の段階的廃止とか、入試内容の変更とかのマイナーチェンジはありましたが。そうそう、単独選抜移行と言えば…

もういいですね。わかりました。それでは解説いってみましょう。

現行のシステムと新システムの比較

順番に、調査書(内申書)から参りましょう。

調査書

現行のシステム
調査書の記載内容は、「学習の記録(各教科の評定)」「行動の記録(クラブ活動など)」「欠席日数」「総合的な学習の時間の記録」「特別活動の記録」「スポーツ・文化・ボランティア活動等の記録」「備考」

新システム
調査書の記載内容は、「志望校」「氏名」「性別」「学習の記録(各教科の評定)」「特記事項」

書くことが減りました。中学校側の負担がめちゃくちゃ軽くなっているように感じます。クラブ活動でいい成績だったとか、ボランティアがんばりましたとかは、もう中学校の先生が書いてくれることはありません(ちょっと大げさですが)。
じゃあ部活やボランティアは無駄なのかというと、もちろんそうではありません。令和5年度以降は、このアピールは自分自身で行うんです。それは後ほど。

入学者選抜の日程

現行のシステム
「選抜Ⅰ」を2月上旬に、「選抜Ⅱ」を3月上旬に、「選抜Ⅲ」を3月下旬に実施。

新システム
「一次選抜」を2月下旬から3月上旬に、「二次選抜」を3月中旬から下旬に実施予定。

最大のトピックは、選抜Ⅰがなくなったことではないでしょうか。逆に言うと、公立高校を志望して受検する生徒が全員「一次選抜(旧選抜Ⅱ)」を受検することになるので、選抜Ⅰを受けようか迷う、という悩みはなくなります。これはいろいろな方面で楽になりますね。

入試期間が1か月半から1か月ないくらいまで短くなりました。これまでに起こっていた、選抜1合格後の気のゆるみなどはなくなりそうです。

入学者選抜の方法

現行のシステム
「選抜Ⅰ」では、調査書と面接、各学校が指定する独自試験(小論文・実技検査など)をもとに総合的に合否判断。
「選抜Ⅱ」では、主要5教科の学力検査と調査書(学校によって面接・実技検査)をもとに合否判断。
「選抜Ⅲ」では、調査書と面接をもとに総合的に合否判断。

新システム
「一次選抜」に、一般枠と特色枠の2つを設置。
『一般枠』では、主要5教科の学力検査と調査書、自己実現をもとに合否判断。
『特色枠』では、一般枠の方法に加えて各学校が指定する独自試験(学力検査・小論文・実技検査など)をもとに合否判断。
「二次選抜」では、調査書と面接(学校によって独自試験)をもとに総合的に合否判断。

聞き覚えのない言葉がたくさん出てきました。
まず、「一次選抜」です。これは、小論文が中心の現行の選抜Ⅰと、学力検査を伴う選抜2を統合した試験であると思ってよさそうです(教育委員会もそう明言しています)。ただし、少しだけ懸念材料が…これは後ほど。
次に、「二次試験」ですが、これはほぼ現行の選抜Ⅲと同様と考えてよいです。ですから、令和5年度以降、広島県の公立入試は一発勝負に移行したといってよいでしょう。

入学定員と割合

現行のシステム
「選抜Ⅰ」では、普通科は定員の20%以内、職業科は定員の50%以内の範囲で高校側が判断。
「選抜Ⅱ」では、定員から「選抜Ⅰ」の内定人数を引いたものが募集定員となる。
「選抜Ⅲ」は、「選抜Ⅰ」「選抜Ⅱ」で入学定員に満たなかった場合に実施をすることが可能(しなくてもよい)。

新システム
「一次選抜」で、どの高校も『特色枠』を定員の50%以内で定めることが可能となる(定めなくてもよい)。
まず『特色枠』で合格者を決定し、その後『一般枠』の合格者を決定する。 「二次選抜」では、一次選抜で入学定員に満たなかった場合に実施をすることが可能(しなくてもよい)。

このシステムから、『特色枠』は選抜1、『一般枠』は選抜2という意味であると考えてよさそうです。要は、全員が選抜1も選抜2も受けることになる、ということですね。これは…大胆なお話。

一方で、特色枠を設けなくてもよくなったということで、「うちは学力一本でやらせていただいてますので!」というような尖った高校が出てくることも考えられます。
現行のシステムは、選抜1は基本的に「絶対にやらないといけない」というシステムでした。していないのは広島高校と福山高校の併設型高等学校のみでしたので。そういう意味での競争も面白そうです。

学力検査

現行のシステム
国語・社会・数学・理科・外国語(英語)の5教科各50点満点、合計250点満点で実施し、合否判断の際に半分の125点満点にする。

新システム
国語・社会・数学・理科・外国語(英語)の5教科各50点満点、合計250点満点で実施。

半分にされることがないことは変更点ですが、ここでは大幅な変更はなさそうです。少し安心しました。
しかし!新入試のパンフレットには、なにやら怪しい文言が。それが、英語について。

外国語(英語)の聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの力を総合的にみるための検査を実施することを検討します。

わざわざ書いてあるってことは、…どういうこと?これもまた後ほど。

内申点の計算方法

現行のシステム
「選抜Ⅰ」は、1年生の9教科合計(45点満点)、2年生の9教科合計(45点満点)、3年生の9教科合計(45点満点)の総和。合計135点
「選抜Ⅱ」「選抜Ⅲ」は、副教科4教科を2倍して計算し、1年生の9教科合計(65点満点)、2年生の9教科合計(65点満点)、3年生の9教科合計(65点満点)の総和を、3分の2したもの。合計130点

新システム
「一次選抜」「二次選抜」ともに、1年生の9教科合計(45点満点)、2年生の9教科合計(45点満点)、3年生の9教科合計を3倍したもの(135点満点)の総和。合計225点

(こうしてみると現行のシステムは説明しづらい。)
大幅に変更になった部分がこの内申点計算です。これまでは、3年間の内申比重が同じだったので、『中1からもう高校入試は始まっている!』『一度大失敗したらもう取り返しつかない!』という状態でした。しかし新システムでは、3年生の成績だけ3倍して比重を重くしてあり、3年生からでも十分逆転が可能なシステムになっています。
原案では、2年生と3年生の成績だけ使おうとなっていましたが、決定稿では1年生も含めたシステムに落ち着きました。各方面に面目がたったいい落としどころだと私は思います。

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学力検査と調査書の割合

現行のシステム
「選抜Ⅰ」「選抜Ⅲ」の割合は、原則非公表。
「選抜Ⅱ」は、学力検査:調査書=125:130。

新システム
「一次選抜」の『一般枠』は、学力検査:調査書:自己実現=6:2:2
『特色枠』と「二次選抜」については、各学校で自由に決定

学力検査のウエイトがかなり大きいように見えます。ただ、「6:2:2」?ということに首をひねる方も多いのでは。私もそうでした。
パンフレットには、例としてこういうものがありました。

学力検査200/250、調査書180/225、自己実現39/60 の場合
学力検査は、(200/250)×6/10×100=48点
調査書は、(180/225)×2/10×100=16点
自己実現は、(39/60)×2/10×100=13点 合計77点

つまり、それぞれの得点率に、学力検査は60、調査書と自己実現はそれぞれ20をかけて足すという計算をするようです。
また計算をしてみますが、これはかなり学力検査に寄った改革です。特色枠ではこの割合を変更することもできるので、かなり思い切った比率を用意する高校も出てきそうな予感。

自己実現

ずっと気になっておられたであろう、自己実現という謎の試験です。調査書の記載内容が減った分は、ここで自分で補うわけです。

教育委員会のホームページには、

全ての高等学校・学科において,受検者全員に「自己表現カード」を作成させ,当該カードを活用した「自己表現」を実施します。

と書いてあります。パンフレットには、自己実現カードはその場で作る、と書いてあります。それをもとに面談(面接)を行うというシステムのようです。配点などすべて高校側が決めますが、パンフレットから想像するに、基本の配点は60点になりそうです。
自己実現で実施される面談は、いわゆる面接のような礼儀正しくする~とか、言葉遣いに気をつける~ということに重点を置くものではなく(もちろん最低限のマナーが必要なのは言うまでもないが)、あくまでも作成した自己実現カードにもとづいたチェックのようです。どちらかといえば、面談よりもカードの方が重要になりそうです。
発表当初は、自己実現カードは「あらかじめ作っておく」だったと思うので、あーこれ書けるようになろうって塾が大量に発生するなと思っていましたが、そのようにはならないみたいです。塾の立ち位置もはっきりさせないといけないな…と自戒。

実施内容発表の義務

すべての公立高校は、あらかじめ入学者選抜実施内容シートを発表することになるようです。内容は以下の通りです。

  • 教育目標
  • 育てたい生徒像
  • 入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)
  • 入学定員
  • 特色枠の有無と受け入れ人数
  • 学力検査の実施教科と配点
  • 調査書の学年比重、対象教科、配点
  • 自己実現の実施内容
  • 独自検査の実施有無と方法
  • 学力検査、調査書、自己実現、独自検査の比重

これらをすべて高校側が決めます。これはかなり高校によって特色が大きく出そうです。

新システムの懸念

懸念というか…ちょっとわからないことがいくつかありまして。これを今後は調査していく予定でおります。

「一次選抜」の期間

選抜Ⅰと選抜Ⅱを統合した「一次選抜」の日程が気になるんです。

現行のシステムでは、選抜Ⅰは1日間、選抜Ⅱは2日間です(追検査は除く)。そうなると、一次選抜を2日でやるのは、今と同じ方法をとるなら無理。
5教科のテストは50分で行うことがほぼまちがいない。これに自己実現の時間はカード記入と面談。『特色枠』における独自検査を設ける場合もあります。
昼ご飯を持ってきて昼からも受験をするのは現実的ではないと思われます。

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英語の試験の意味深な文言

先ほど書いたアレ。総合的な検査にしたいというアレ。
4技能のうち、現行のシステムで測れていないのは、スピーキング(話すこと)ですから、もしかして英語面接を考えておられる??
わざわざ書いてありますから、ありえない話ではなさそう。ほっといても特色枠で入れてくる高校はありそうですが、全員に英語面接を入れるとすると話は別。準備期間もばっちりあるし、どうなのでしょうか。

そうなると日程は

例えば、現行の入試に照らし合わせて考えるとすれば、

1日目→国語・社会・数学
2日目→理科・英語・独自検査
3日目→英語面接・自己実現カード・面談

の3日間開催があり得そうな感じがしますが……みなさんはどのように感じられますでしょうか。

ご意見メールにいただければありがたいです。

全員「選抜Ⅰ」の対策が必要になる

選抜Ⅰを統合するということは、これまでは特定の人だけ勉強すればよかった、「選抜Ⅰのための対策」を全員しなければならなくなるんです。一般枠での合格ももちろん可能ですが、最大で定員の半分を持っていかれる特色枠を無視して、一般枠の合格に賭けるのはとんでもなくリスキー。

各高校の発表待ちですが、1年目は各学校現在の選抜Ⅰの選抜方法を踏襲してくることが考えられるので、多くの生徒は小論文の訓練が必要になりそうな予感。塾の先生方にとっては、「小論文特訓」は金の鉱脈でしょうか、それとも…

情報を早めにキャッチしたい

次に具体的な情報が現れるのは、来年になってからだと思います。今年はコロナの影響でいろいろ調整しないといけないこともあるでしょうし、今年度の入試も進めないといけませんし。
私も情報のアンテナは感度よくしておこうと思いますが、もしなにかいい情報手に入れたら、いただければと思います。

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