広島県公立入試における内申点と入試当日点の関係についての考察

広島県公立入試における内申点と入試当日点の関係についての考察

管理者プロフィールはこちらから ⇒ 管理者のプロフィール

広島県公立入試の入試システムについてはこちらの記事をご覧いただければお分かりかと思いますが

入試当日の得点と、内申点の間にどのような関係があるのかは過去にあまり記事にしたことはないですし、ほかの方からのブログなどにもあまり書かれていない内容。

もっと言えば、業界関係者の方々もわかっていないかもしれない。広島県の高校入試に関わる人たちはみな口をそろえて、
入試の得点と同じくらい内申点が大事なんだからな!
と言いますが、
「じゃあどのくらい大事なんですか!」
という反論に、具体的に数字を使ってねじ伏せたい。

ということで今回は、入試当日の得点と、内申点にはどのような関係があるのか記事にしました。

Advertisement

当日点と内申点の関係

広島県公立入試の当日点と内申点の比は、基本的に「1:1」です。もう少し細かく言うと、学力検査125点に対して、内申点130点です

入試は1教科につき50点満点、5教科合計250点満点です。当日点125点は、これを半分にする方式をとるので、当日点の1点分入試の得点の2点分に相当します。
例えば数学の計算問題のような2点問題は1点計算、国語の作文問題の9点問題は、4.5点計算となります。
ですから、計算問題1問=当日点の1点だと思って差し支えないです。

一方、内申点130点は、3学年分の成績合計195点を3分の2するので、内申点の1点分成績の数値の1.5点分に相当します。
音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科は2倍計算するので、5教科の成績が1増減すると、内申点は約0.7点の増減、4教科の成績が1増減すると約1.3点の増減となります。

当日点と内申点は、「1:1の割合」のため、ここから導き出されるのは
入試の得点2点分=成績の数値1.5点分
という数式です。
もう少し計算しておくと、成績の数値1点分=入試の得点約1.3点分です。

・もしライバルよりも5教科の「4」の数が1つ少なく、あとはすべて同じ成績なら →入試はライバルよりも約1.3点多く取らないといけない。
・もしライバルよりも副教科の「4」の数が1つ少なく、あとはすべて同じ成績なら →入試はライバルよりも約2.7点多く取らないといけない。

ということがわかります。
多くの場合、入試で2点・3点は1問なので、ライバルより内申点が1少なかったら、1問多く解いて(ようやく)同じラインに立てるということです。

学力重視システムの場合の関係

進学校で多く用いられる、当日点と内申点の比を「8:2」にするシステムの場合はどうでしょうか。
この場合は、詳しい中身が公表されていないので、だいぶ推測の部分が多くなりますが、「満点を255点とする」というところは変えずに考えました。とりあえず聞いてください。

当日点と内申点の合計は「255点」。当日点は204点、内申点は51点が満点となります。
125点を204点に上げた場合、価値は「1:1」のときに比べて約1.6倍となります。一方、内申点は価値が約0.4倍となります。

つまり、当日点の204点は、入試の得点250点をもとに計算すると、当日点の1点分入試の得点の約1.23点分に相当します。
内申点51点は、3学年分の成績合計195点をもとに計算すると、内申点の1点分成績の数値の約3.82点分に相当します。

ここから導き出されるのは、
入試の得点1.23点分=成績の数値3.82点分
という数式です。

つまり、5教科の成績の「1」を挽回するために、入試ではライバルより約0.32点分余分に得点する必要があります。
また、音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科の成績の「1」挽回するために、入試ではライバルより約0.64点分余分に得点する必要があります。

成績の10ポイントの差は、入試の得点を4点余分に取れば逆転できます。

Advertisement

ただし、学力重視システムは、選抜IIの定員の2割程度しか採用されません。
8割は、通常の方式で合否を決めるため、成績と入試得点のバランスがよい受験生は、そもそも通常の方式ですでに合格を決めている可能性が高く、学力重視システムに回される受験生は、ほぼ全員が入試の得点を多くとっている人であると推測できます。
そのライバルたちに対して、さらに入試得点を4点余分にとることは、現実的かといわれるとかなり疑問があります。

できれば、通常の方式であっさり合格できるような「内申点」が必要です。

成績を上げることは得点を積み上げること

当日、入試でライバルより多くの問題を解くことは、口で言うほど簡単ではありません。狙っている高校には、ほとんど同じくらいの成績の生徒たちが集まるわけですから、入試ではあなたと同じような点数をとってくるでしょう。

また、入試は年度によって難易度が大きく異なりますし、傾向が大幅に変わってしまえば想定していた点数よりも取れなかった、ということだって考えられます。(傾向が変更になることは考えにくいとはいえ)

そこで強みになるのは、普段の成績。もっというと、副教科です。

上でも書いた通り、副教科の「4」を1つ増やすことが、当日入試で3~4点取ることとほとんど同じ意味になります。もし、副教科の4教科すべてで「3」を「4」に変えることができれば、当日は10点分の意味を持ちます
10点分とはすなわち、作文1問分です。作文を書くまでもなく、作文1つ分の得点を手に入れたことと同じになります。

これは、中学3年生だけに限った話ではありません。広島県は、3学年すべての成績を入試に反映させる県なので、中学1年生から入試は始まっていると思ってください(令和5年度からシステムが変更になります)。

中学1年生・2年生は、今、成績でいい点数をつけることがそのまま入試の2点・3点につながります。入試の得点を積み上げることに、成功しているのです。
また、中学3年生にも遅い話ではなく、選抜Ⅱの成績をつける機会はまだ残っています。3学期制であれば、あと2回。2学期制でも、後期はまだ成績を変えられます。

今回は、内申点と入試点の関係についてまとめました。これを見て、今後の勉強の指針にしてくださいね。

広島県公立入試全般カテゴリの最新記事