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広島県公立高校入試の分析
保護者の方世代(つまり私の世代)と比べ、率直に言って、広島県の公立高校入試は難しいです。
でも、難しいというだけでは、具体的な対策を考え出すことはできません。なので、今回は、広島県の公立入試のどのあたりが難しく、どのような対策をとっていけばよいのか。考えていきます。
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広島県の公立入試の平均点の推移
まずは下の表をご覧ください。
広島の公立高校入試の各教科および合計の平均点を、過去10年分調べて表にしたものです。
年 | 国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 合計 |
2011 | 29.0 | 29.1 | 21.2 | 29.4 | 23.7 | 132.4 |
2012 | 30.2 | 29.6 | 22.9 | 25.0 | 23.6 | 131.3 |
2013 | 32.1 | 26.7 | 23.7 | 27.4 | 21.3 | 131.2 |
2014 | 31.5 | 30.8 | 27.3 | 25.3 | 24.4 | 139.3 |
2015 | 28.8 | 25.7 | 30.1 | 23.0 | 26.3 | 133.9 |
2016 | 25.6 | 21.2 | 24.8 | 19.7 | 23.7 | 115.0 |
2017 | 23.9 | 19.3 | 23.0 | 17.1 | 15.9 | 99.2 |
2018 | 23.5 | 18.0 | 22.4 | 19.1 | 24.4 | 107.4 |
2019 | 23.6 | 21.6 | 21.0 | 23.3 | 21.3 | 110.8 |
2020 | 26.5 | 22.0 | 28.2 | 28.6 | 23.9 | 129.2 |
各教科の満点は50点、5教科は250点満点です。
各教科の赤字と、総合点で太字は、平均点が満点の半分に満たなかったことを表しています。
これを見ると、あることがわかります。
国語の場合
国語は、10年間で3回平均点が満点の半分以下になっています。
平均点が30点を割った2015年に、作文が導入されました(短文でしたが)。
2016年に、明治時代の小説が登場して、そこから内容がグッと難しくなりました。作文の長さもだんだんと長くなっており、カギを握るのはここです。
それでも、難しい広島県にあって、比較的点数が取りやすいのが国語。
対策が難しい教科ではありますが、きちんとした勉強がモノを言います。
社会の場合
社会は、10年間で5年、平均点が半分以下ですが、その5年間が2016年からの5年分。つまり、いま一番難しいのはこの教科ということです。
5年前は、記述型の問題をふやし始めた年。最も記述型の問題が増えたのが2018年で、ここ2年間は少しだけ落ち着いています。
とにかく手を動かして書きなさいと言われます。50点満点のうち35点くらい「説明しなさい」です。
説明しなさいが、ただの暗記ならいいんですが、資料を読み取って答えるタイプの問題が多い。だから、得点20点を割り込んでしまったりするんですね。
この傾向は変わらないでしょうから、もしかしたら今年も25点以下かもしれません。
数学の場合
10年間で7回半分を下回っている数学ですが、2013年までの3回と、2016年からの4回では、その理由が違います。
2013年までの数学は、大問2と3の「小問集合」に、数学的な解きにくい問題が多かったです。よくあるような問題を、変にこねくり回して、解きにくい条件を入れ込んでしまう、みたいな。対策できそうでできない問題が並んでいました。
2016年以降、数学に登場したのが活用問題でした。例えば「ドアを開くときの距離」や「ブレーキをかけたときに進む距離」みたいな、日常生活との関連を意識したようなものが出題されたり、「標本調査の意味」のような、数学の本質を突くような問題が出題されたりしています。
2016年当時は、日常生活に及ぶような問題が全国的に珍しかったので、面食らって点数落としたんでしょうね。
今年平均点が上がったのは、4年間の蓄積と、他県でも出題され始めたことで、ここへの対策ができるようになったことだろうと考えられます。
理科の場合
理科は、社会同様10年間で5年、平均点が半分以下です。その5年間が2015年からの5年分。
社会同様、とにかく手を動かして書きなさいと言われます。理科でも半分くらいは「説明しなさい」。説明ができない受験生は、得点にならないんです。そりゃ平均点20点割り込むようになるわ…です。
ちなみに、今年の理科の平均点が大幅に高くなったのは、「説明しなさい」問題がここ数年では一番軽く、さらに受験生が対策を万全にやってきた結果だと踏んでいます。決して、問題の傾向が変更になったわけではありません。
英語の場合
英語はなんと、10年中9年で平均点が半分以下です。半分を超えた2015年も26点と、やや半分よりも上という、とにかく「難しい」印象がある入試です。
英語の難しさの特徴は、1点に集約されます。それは、文法問題の大問が存在せず、長文だらけだということです。
長文が多いから難しい、と必ずしも直接つながるわけではないですが、影響はありますよね。
英単語も多く覚えないといけない、その中に文法問題もあるし、意見を書かないといけないものもある。ただ長文を読むだけだったら、英単語を多く覚えるだけでいいでしょうけどね。
さらにいうと、表現力を伴う英作文が大問の最後に用意されていることで、時間配分も苦しくなるのが、現行の英語入試の特徴ですね。
公立入試突破へどう対策するか
この「難しい」公立高校入試問題に立ち向かうために、じゃあ今から私はどうすればいいんだ!と思われると思います。
年内は「基礎基本」徹底
効果的であろう対策は、一問一答形式の問題です。
一問一答形式の問題もきちんと出題されるんです。例えば数学であれば、25点分くらい。理科や社会は15点分から20点分くらいですかね。
少ないと思うか多いと思うかは自由ですが、平均点が25点前後のテスト、この15点分はめちゃくちゃデカい。
もちろん、説明問題、記述問題の配点が大きいので、早く手を出したくなりますが、その気持ちをグッとこらえて、です。説明記述問題は、一問一答ができてから初めて、それを土台として作り上げられるものです。
理科用語の問題は出題されなくても、理科用語は理科の問題で当たり前に使われるわけです。陰イオンとか、小惑星とか、力学的エネルギーとか。
この用語の意味がわかっていないと、当然その問題は解けません。そうなったら、もう応用問題どころではない。
各教科15点の「基礎点」を確実にモノにできる土台を作ってから、応用問題へ進むイメージです。応用問題の勉強に2か月くらい費やすことができるように準備すれば、十分勝負になります。公立最上位校あたりを目指す場合は、もう少し応用問題に力を注ぎたいので、1~2か月早めに完成させられるようにしておきましょう。