令和2年度・広島県公立入試社会第1問から探る対策

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社会もやってみた

広島県の公立入試は「特殊」と言われます。
どのくらい特殊なのか、せっかくなので令和2年度(2020年度)を大問1つずつ分析してみました。過去問の解き直しなどにぜひ。

今回は広島県の公立入試・社会第1問です。

なお、入試の問題文そのものをブログに載せることは、著作権上できないようなので、問題は下のリンクでご覧いただくか、市販の過去問集などでご確認ください。

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令和2年度広島県公立高等学校選抜II学力検査のページ

第1問・地理の簡単な内容

「日本と世界の各地域における特色を農業の比較から」考える、資料読み取りの多い大問です。

資料は、1ページ目に2つの円グラフ、2ページ目には1つの表と2つの地形図、3ページ目は1つの地図と1つの表、4ページ目には1つの表と、8つの表を使って問題が進みます。
ただ、2ページ以上またいで使う資料がないことと、あまり参照しなくても解ける問題もあるので、地理は比較的取りやすい(はず)の設問群ですね。

1問目はただの暗記からの用語問題

早速1問目から、資料を無視して解ける設問です。単なる知識問題で、覚えておけば解けるのですが、思いのほか正答率が低いんですよね…(68%)。

2問目は「準」資料読み取り。記述解答もあり

2問目は2つ。静岡と鹿児島の茶の生産についての資料と地形図から解きます。ただ、あまり資料読み取りの要素はうすめです。

1つ目は、資料を細かく読む必要はなく、「機械化が進むと生産の仕方どうなる?」ということが分かればよいです。
2つ目は、静岡で鹿児島ほど機械化が進んでいない理由を、地形図を読み取って解きます。ちょっと読み取りづらい地形図なのですが、静岡の方は細かく川や道路などが見え、鹿児島の方は比較的大きな区画に分かれているように見えています。ここから「機械が畑に入れない」ということを読み取ります。

大きくくくると、知識問題に属する問題ですね。

3問目は資料よりも「逆暗記」が有効な問題。

3問目も2つ。今度は世界の茶の生産地の特色を読み取る問題です。資料はあります。読み取るのと知識とを組み合わせる問題ですね。

1つ目は、7つの都市の特徴まとめです。これは、地図とちょっとした知識を要します。
選択肢アは正解。緯度は、赤道が0度で、そこから両極に向かって数字が大きくなります。北は、秋田が北緯40度くらいであることを暗記しておいて、そこからイスタンブールの北緯を考えます。南は、ナイロビがほぼ赤道上にあることを理解しておけばOKです。
選択肢イは不正解。東経135度が兵庫県明石市であることは必要な暗記で、静岡はそれより東にあるから135度を超えてしまいます。
選択肢ウは正解、エは不正解。イスタンブール・静岡・鹿児島は温帯であることは暗記、ナイロビとコロンボは赤道付近だから暑いということがわかればよいです。また、中国のフーチョウとインドのチェラブンジは、暗記する必要はありません。ここでは、鹿児島と同じくらいの緯度であることから「冷帯と寒帯ではないな」ということが分かれば、ウとエの選択に迷うことはないかと思います。

2つ目は、ナイロビが赤道に近いのに年平均気温が低いことの理由を説明する問題です。
平均気温が低くなる要因として、頭に入れておくことは2つ。『極に近いこと』と、『標高が高いこと』。今回は赤道近くにあるナイロビの話なので、都市の標高が高いことが言えていればOKです。

4問目は完全に「逆暗記」案件

4問目は、茶の消費量を見ての問題です。資料はありますが、ほとんど知識問題です。
ケニアが茶の生産量世界第3位にもかかわらず消費量は5位以内に入っていない資料をみて、これがなぜかを説明します。ケニアをはじめとしたアフリカの国の多くは、1つの作物を輸出して経済を支える「モノカルチャー経済」です。これを暗記しておいて、この説明をここですればOKです。

一方通行の暗記では通用しない。

資料読み取りの半分ほどは、問題を作りたいがための無理やりな資料なので、しっかり読まなくても解くことができます。残りの半分は、資料を読み取って、それがどういう意味があるかを考えて、解きます。

暗記をすれば解けるよ、ということです。でも、暗記は一方通行ではだめ。今回通常の暗記で解ける問題は1問目だけ。あとは「なぜこういうことになるか」「この用語の意味」など、言葉を見て何を表しているかがわかるような暗記をする必要がありますね。

もし、社会とくに地理で点数が取れない人は、まず用語の相互通行ができるように暗記のやり方を変えてみてはどうでしょうか?

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