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大問2は大問1と形式がだいぶ違う
広島県の公立入試は「特殊」と言われます。
どのくらい特殊なのか、せっかくなので令和2年度(2020年度)を大問1つずつ分析してみました。過去問の解き直しなどにぜひ。
今回は広島県の公立入試・国語第2問です。
なお、入試の問題文そのものをブログに載せることは、著作権上できないようなので、問題は下のリンクでご覧いただくか、市販の過去問集などでご確認ください。
関連リンク
令和2年度広島県公立高等学校選抜II学力検査のページ
評論文の簡単な内容
出典は、原田マハ「いちまいの絵」です。
内容は、一枚だけ好きな絵がもらえるとしたら?という質問に対して、ある人物がジョルジョ・モランディという画家の名を挙げて、そこからモランディについての考察が始まるというもの。
専門的な用語がかなり登場して(もちろん注釈はあり)、読みにくいかもしれません。合う合わないが顕著に出そうなタイプの問題です。
簡単な漢字。長文を書かせる2問目。
漢字は相変わらず難しくはない。ただし、大問1の書き問題よりは、少しレベルの高い漢字が選ばれている印象があります。
2問目は、「ジョルジョ・モランディを挙げたときに場の空気が変わった」と感じた理由を、文の空欄を埋める形で、45字で書きます。
正答率は約19%。得点が取れなかった受験生は約22%。全体の約78%が0点を回避しています。長い文章なので、部分点を丁寧に出している印象です。
モランディとは、ピカソやマティスやセザンヌなど、多くの人が知っているような画家とはちがい、いたって地味な画家であると、4段落目に書いてあります(私も知りませんでした)。
また、その続きに、モランディは誰もがものすごく好きとは言わないが、憎からず思っている画家であり、誰にも「あの画家はいい」といわしめる普遍的な「何か」を持ち合わせている画家だということが書かれています。
この2つをもって、酒宴の場でモランディを挙げて「そうか!」と場の空気が変わったと考えることができます。これをまとめてあればOKです。
「地味な画家」であることと、「普遍的な何かを持っている」ということの2つが書いてあって、初めて完全正答となると思います。
3問目は文法。4問目は接続詞選択。
3問目は熟語の成り立ち。珍しく文法の問題です。
熟語の構成を考えるのは「公言」です。これは、「公に言う」という意味です。
選択肢は4つ。アは「常に備える」、イは「読む書く」、ウは「樹・木」、エは「善⇔悪」となり、同じ構成はアです。
漢字検定の問題みたいですね。
4問目は接続詞の選択です。
これは、8段落目を読むだけで解答可能です。
資料まとめと文章まとめの5問目。
5問目が難問です。これも50字以内の文章を書くもので、部分点が多く出ています。完全正答は3%。ほとんど解けてないですね。
モランディの作風とはどのようなものなのか。これが問題文の全体にちりばめられています。
4段落目に「地味な画家」、「普遍的な「何か」を持ち合わせている」。
8段落目に「こじんまり」「同じようなものをひたすらひたむきに描いている」。
10段落目に「冷めた情熱」「不思議と情熱が感じられる」「明日へと命をつなごうとする」「凍ったような情熱」。
11段落目に「おだやかな満足感」という感じです。
これと、資料に書かれている(資料は、県教委の問題では黒塗りになっていて見られません)内容をまとめます。
「小さな違いを見いだせる」「同じものをひたむきに描く」という2つが入っていればOKかと思います。
「モランディ」への理解がカギ
この大問は、45字・50字と長い文章を書かせる問題がある一方で、漢字・接続詞・熟語という文法系の問題もあるバランスの良い設問になっています。
逆に言えば、文法系は確実に解けないといけないし、長い文章は部分点を取りにいかなければならない。ここで得点を稼ぎたいところ。
これも、一度全体の問題文を読んで、「モランディ」についてある程度理解してから問題文に進んだ方がよいかと思います。
あまり、テクニックに走るといいことなさそうです。