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たまに、過去の公立高校入試に向けての分析を、備忘録的にまとめていきます。
今回は平成29年度理科について掘り下げた記事です。
「記述問題の増加」は驚きを与えたが……
社会にも言えることですが、今年(平成29年度)の入試のトピックのひとつは、記述問題の増加です。しかも、かなり長い文を書かせるタイプ。
理科の場合、一番わかりやすいのは大問2の2。
モーターが回っているときの水溶液内のイオンの変化についての説明。答えを見るとものすごく長い説明をさせられているのがわかります。
しかしながら、「入試が難しくなった」理由をここに求めてしまうと、「だったら、選択や語句の問題は無視してひたすら記述の問題を練習すればいい」という短絡的な発想に進んでしまい、とたんに対策を間違えてしまいます。
なぜ理科の入試は難しかったのか
昨年(平成28年度)理科の入試は平均で20点に届かない問題になり、今年もそれに近い点数になることが予想されます。
その理由は、記述問題なのか。
残念ながら、それは違います。
なぜなら、今年出題された10問の記述問題のうち、正直定期テストレベルじゃないのか、といえる問題が4問。資料をよく読めばすぐわかる問題が2問あるからです。
つまり、すべての記述問題が難しいわけではないのです。
では、何が難しいのか。それは、仮説検証による考察問題の増加です。
一昨年(平成27年度)以前の問題と昨年・今年の問題で明らかに変わったのは、大問の個数と、それにともなって各大問で最後の設問に仮説を入れたことです。
今年であれば、大問1の「食パンの水滴」問題や大問2の「塩酸の濃度」問題。
ここには、長い記述をさせられる問題はありません。選択問題もあるし、小さめ記述問題もある。
でも、多くの受験生はここで点が取れないんです。
学校の先生や塾の先生がしきりに、「記述問題が増えたから難しくなったぞ」とあおりますが、この指摘は、少し的外れであることがお分かりいただけたでしょうか。
どのような対策が有効か
では、どのように対策するのが良いのか。
多くの先生が言われるのは「こういう問題をどんどん解いて慣れよう」です。しかし、この方法はいい方法ではありません。
記述問題および仮説検証問題で大切なのは、知識の使いどころです。持っている知識そのものが重要なのではなく、適切なときに適切な使い方をするのがポイントなんですね。だから、そういった対策を積まなければなりません。
でも、それよりも先にやらないといけないことがあります。それは、知識量を増やすことです。
使いどころを練習するにも、その知識がなければ練習しようがありません。まず行うことは、多くの先生が忌み嫌う「ただの暗記」です。