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テスト対策にて。
相似の問題の質問を受けたので、私のやり方で教えていたところ、「そんなの自分で思いつかない」「そんな解き方を思いつくのは数学が得意だからだ」という反応をされました。
目の付け所が少し違う。
相似の問題の場合、私が一番気をつけているのはあの記号「∽」が書いてある部分です。自分で相似である図形を探し出すときも、この記号「∽」は大事にします。
例えば、相似である図形を利用して辺の長さを求める問題。
多くの生徒は、改めて図形を確認し、対応する辺を探します。でもたいていの場合、それはうまくいきません。
なぜなら、相似の場合は辺の長さが違うから。だから、対応する辺を探し出すのに時間がかかるんです。
私が教えるとき、図形など見なくても、対応する辺を見つけ出すことができます。
それは、「∽」の記号を大事にして、そこばかり見ているからです。「∽」の記号は、必ず対応する角の順に書かないといけません。
そんなことはだれでも知っているはずです。でも、それを利用してやろうという生徒はあまりいない。
対応する辺は、そこに書いてあるんです。
△ABC∽△DEFなら、ABに対応する辺はDEなんです。
∠Cに対応する角は、∠Fなんです。
これを使うと、長さを求める問題は比較的楽になります。
AB:DE=AC:DF=BC:EF
のはずですから、対応する辺の長さを当てはめていき、比を使って答えを出す。
ただぼーっと図形を眺めているよりはずっと効果的ですよね。
少しだけ目の付け所を変えてやれば解けるようになるのが、数学のおもしろさかもしれません。
この方法は、もう少し難しい応用問題でも使えるのですが、これを急に説明で使うと、
「そんなの自分で思いつかない」「そんな解き方を思いつくのは数学が得意だからだ」
となります。数学を勉強していて誰でも一度は思ったことがある、あるある話だと思います。
人はこれを「ひらめき」と称します。
ひらめきは「センス」ではなく「経験」
上で見てもらった通り、私は相似の問題を解くうえでの「セオリー」を知っていました。図形を眺めるのではなく、「∽」まわりを調べなさいというセオリーです。
着目すべき点を知っている、というのが正しいかもしれません。
つまり、ひらめきとは「経験」です。
ひらめく人は、過去に同じような問題を解いた経験のある人で、ある意味「たまたま」解けている。これが積み重なると、少しパターンちがいの問題でも「応用できないか」と考え、解けるようになります。
相似の問題への経験が少ない人にとっては、「思いつかない!」とか「そんなの反則!」と感じる。でも逆に言えば、経験を積んで見たことある問題にすれば、「いやいや知らないほうが悪いでしょ」となる。
数学に「センス」なんて不必要なんです。
むしろ、入試数学が「教科書で学んだ定理や参考書の解法パターンの組み合わせで解く」問題である以上、ゼロから価値を生み出すような「センス」は、あると邪魔なものです。
今後入試問題を解いていく受験生にはその「経験」をたくさん積んで、解法のセオリーを増やしてほしいと考えています。とくに、関数と空間図形は、セオリー勉強が大きく役に立ちます。
「こんな方法があるんだ」「こんなの聞いたことないよ!」「こんなことやっていいの?」
と思った解法はガンガン真似ます。横取りします。さらなる演習で、それをどんどん自分のものにします。
その結果、2か月後3か月後に、「いやいや知らないほうが悪いでしょ」という状態に持っていきます。「センスなんて必要ない」ということがこれでわかってくれると思います。
「経験」を「得点」に。
この経験を得点に変えるために、「どの問題でどのセオリーを使うか」を鍛えなければなりません。これを鍛えるためには、「実戦演習」を多くやることです。
例えば、平日セオリー勉強をするとすれば、週末や塾の授業時間を使って「初めて見る問題」で訓練する。ほかには、「別解を考えてみること」も効果的です。
普段から他の解き方はないか、今のアプローチの仕方が果たして最適だったのか、これを使ってみたらどうかということを考える癖をつけましょう。
「数学はセンス」は逃げ。
「数学はセンスだ」という発想(国語でもたまにいますが)は、数学ができない人の単なる言い訳です。
言い訳地獄にはまらないよう、セオリー練習しっかりやってくださいね。