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今回は平成29年度数学について掘り下げた記事です。
平均点が発表になった後の記事です。
前半戦で得点を落とさない訓練をすれば
(平成29年度の)数学の平均点は50点満点で23.0点でした。
この点数は、昨年よりやや下がりましたが、難易度としては昨年(平成28年度)と同様とみています。計算問題が1問減って3問になっている分、下がったと見るのが妥当かと思います。
簡単に言うと、
大問1~3が「従来」の標準的な問題
大問4・5が「新傾向」の応用問題
大問6・7が「従来」の応用問題
という流れになります。
この「従来⇒新傾向⇒従来」の流れ自体は、ここ数年のトレンドなのでとくに目新しさもありませんが、今年は、新傾向の応用問題がやや「数学寄り」だったように感じました。
昨年までの日常生活に関する匂いが強かった問題からすれば、ですが。
平均点23点をとるためには、大問1の14点、大問2の8点で22点になるので、大問3にある3点問題3問のうち1問でも正解すれば、平均点は余裕で届くことになります。
大問3まで全部得点できれば、31点になり、地区トップ校でも勝負になるラインまで来ます(逆に言えば、それだけの訓練すらもできていない、ということですが)。
従来型の応用問題が「応用ではない」
大問6・7にある応用問題には、トータル9点が振り分けられています。
内容は
大問6が反比例のグラフをみて答える問題
大問7が辺が等しいことを証明する問題
です。
この概要だけを見ると、もしかしたらあなたは「パス候補」として分類するのかもしれません。それは残念ながら、もったいなさすぎます。
なぜなら、大問6の(1)は、代入することができれば1分もかからず解き切れるし、大問7は正直教科書にあるレベルの問題だからです。しかも、証明問題には必ず部分点が与えられます。
変な論を振りかざさない限りは、ゼロ点になる可能性の少ない問題なのです。
つまり、この2つの大問で得点が拾えれば、大問1~3のミスがフォローできるのです。
先ほどは簡単に、大問1・2を満点でいければ、と言いましたが、実際には、苦手な単元が出たり、ちょっとミスをしたりするので、落とした点数はどこかで得点を稼ぐ必要があります。
それが実は、ここです。でも、多くの受験生はここで点が取れないんです。
新傾向問題は、難関高校受験者の格差をつけるところ
大問6・7で得点が拾えない理由の一つは、大問4・5に時間を食ってしまうからです。
大問4・5は、数学でよくある、グラフを使う問題や図形の面積や体積を求める問題と違って、何かにつけて日常の生活や実際に起こる現象にからめて出題されます。
今年の場合、大問4はトンネル、大問5はロケットが題材として使われています。
どの塾の先生も、出版社の方も、この事実には気づいていて(たぶん)、過去問や全国の入試問題を探して慣れさせようとしていますが、実はこの問題、類題は現状ほとんどありません。全国的にも、まだまだ数多くは出題されていないので、数をこなすには少ないのです。
(※令和3年度入試の対策としては、もうだいぶ全国で出揃っています)
では、この2つの大問はどう考えるか。
選択肢は、明確に2つです。
・難関高校狙いの受験生は、それでも類題をたくさん確保
・地区トップ校以下狙いの受験生は、ここはばっさりパス
この2つの大問は現状、難関高校狙いの受験生にだけ意味があると思って差し支えないです。
大問4の配点は6点、大問5は4点。混乱してまで解くことはありません。ほかの大問・40点分の配点をきちんと拾えるほうが賢いです。
一方で、難関高校狙いの受験生は、ここをパスするわけにはいきません。
広島県教委が発表した資料を見ると、平均点以外に得点の度数分布多角形(5点刻み)も載せてあります。それを見ると、
6点~10点、11点~15点、16点~20点、21点~25点、26点~30点、31点~35点、36点~40点
の生徒がそれぞれ約10%でバランスよくいます。
平均点23点の割には、高得点の生徒が多くいるように見えます。つまりこれは、難関校では高得点の勝負になっている可能性が高いということ。
だから、パスできません。
対策の仕方まとめ
公立高校入試の数学対策のポイントは
自分の志望校のレベルに合わせて大胆に攻めることです。
具体的に言えば
・偏差値50以下高校狙いの受験生は、大問1~3を確実に解き切る訓練
・地区トップ校以下狙いの受験生は、大問6・7をとれるように練習
・難関校狙いの受験生は、大問4・5にもきっちり手を出す
これらを意識しながら、きっちりやりましょう。