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歴史の巻

広島県の公立入試は「特殊」と言われます。
どのくらい特殊なのか、せっかくなので令和2年度(2020年度)を大問1つずつ分析してみました。過去問の解き直しなどにぜひ。

今回は広島県の公立入試・社会第2問です。

なお、入試の問題文そのものをブログに載せることは、著作権上できないようなので、問題は下のリンクでご覧いただくか、市販の過去問集などでご確認ください。

関連リンク
令和2年度広島県公立高等学校選抜II学力検査のページ

第1問・歴史の簡単な内容

「税と政治のかかわり」に注目して考える、資料読み取りと知識が半分半分の、バランスが取れた大問です。

資料は、1ページ目に5つのメモ、2ページ目には1つの資料とまとめ、3ページ目は2つの表、4ページ目には2つのグラフとを使って問題が進みます。
3ページ目と4ページ目の資料は、それぞれ2つを関連付けて利用しないといけないものです。一方で、メモは1つずつ使えばよいので、あまり横のつながりは意識しなくてよさそうです。

1つ目は広範囲の暗記を要求

1つ目から2問に分かれています。

1問目は、古代の土地と税との正しい関係を選択します。4つの選択肢が、それぞれ古代~近現代の説明になっています。それぞれの時代の「用語」が頭に入っているかどうか、そのキーワードが拾い出せるかがポイントですかね。
アは「小作人」、イは「地券」、ウは「国から農地を与えられ」、エは「本百姓」がキーワードです。これが何時代でしょうか。わかれば解けます。77%が解けているので簡単目の問題。確かに、一つだけ時代がぶっ飛んでますからね。

2問目は、防人が九州に置かれた理由を説明します。記述暗記型問題として考えることも可能です。
資料から、「朝鮮半島」「日本は、……敗れた」ということを読み取ります。問題文から防人は九州に置かれた、ということを取り上げます。「このころの九州=福岡付近」ということだけは知識として持っておかないといけません。これをまとめればOKです。正答率は約半分。防人は盲点かもしれないですね。

2つ目はただの暗記問題

農民が武装して酒屋や土倉を襲う動きの名称を答えます。ただの暗記問題です。
農民がだれかを襲うことは、各時期で名前が違います。メモⅡ「鎌倉時代や室町時代」ではどれだったか、きちんと覚えているかどうかが大事ですね。
ちなみに正答率は22%。「土」が入っていないと不正解になるようです。

3つ目は組織の存在理由を考える難問。

3つ目は、株仲間についてのお話です。
江戸幕府・株仲間を作る商工業者のどちらの立場にも利点があるのですが、それをそれぞれの立場から説明するという問題です。
正答率は25%と12%。特に商工業者の立場での説明が難しかったようです。

そもそも税とは、権力者がその権力を維持するために支配している者から取るものです。もちろん、税はたくさん取れた方がいいです。各時代の権力者たちは、この税の取り方に苦労してきました。

江戸時代、幕府にとっての収入源は、「農民からの年貢」と「商工業者からの税金」でした。江戸時代の前半は、年貢が安定して入ってきていたので、商工業者からの税金は重要視されていませんでした。しかし、メモの通り、年貢米の価格が下がったことで財政難となったことで、商工業者からの税金に頼る必要が出てきました。
そうなったとき、幕府にとって一番困るのは、「商工業者が減ること、いなくなること」です。商工業者がいなくならず、きちんと商売をし続けてもらうために、考えたのが「株仲間」です。幕府は、商品を売る権利を株仲間に与えて、それ以外の商工業者には扱うこと禁止しました。
これによって、幕府は商工業者が商売をし続けてくれるので安定して税金が取れます。一方権利を与えられた商工業者は、その商品の権利は独占できるので、安心して利益をふやすことができます。こういう「win-win」の関係が成り立っていたというわけです。

…というところまで理解できているかどうか。難しいかもしれませんね。

4つ目は完全に「暗記型記述」案件

4問目は、選挙の有権者数の推移をみて、その間に何があったかを説明する問題です。正答率が10%。うーん。暗記したことがうまく使えていない一例です。

表は、1924年と1928年の選挙のデータが使われています。1924年と1928年の間に、選挙制度の変更がありました。その結果、1928年に有権者が約4倍になります。これは、「納税制限がなくなった」ことが最大の要因です。これまでは、多額の納税を収めた人しか選挙に行けませんでしたが、1925年の法律変更により、「25歳以上の男子全員」に選挙権が与えられました。

この問題は、「表が表している意味が分かるかどうか」が第一ハードルでしょう。この表で、「1928年は選挙に行ける人が急激に増えている」ということを読み取る必要があります。
第二ハードルは「なぜ増えたのか」です。先ほどの説明の通り、納税制限がなくなったことが要因です。これがきちんと理解できているかです。
第三ハードルは書き方。問題文に『第15回と第16回のそれぞれの衆議院議員総選挙において選挙権が与えられた資格の違いに触れて』とあるので、これに沿っていないと減点でしょう。

とはいえ、部分正答も11%なので、全体の約8割の受験生が、第二ハードルまでで引っかかっていると考えられます。使える暗記になっていないですね…

5つ目はグラフから読み取る

5つ目は、2つのグラフから消費税が導入されて理由を説明する問題です。
グラフⅠは社会保障給付費の推移を表します。社会保障費は、主に高齢者を支えるためのお金だと思っていただければよいです。これが、1970年から激増していることがわかります。
グラフⅡは、日本の人口構成のグラフです。平成元年(消費税導入)時点での実測値と推計値から、日本の人口は2020年ごろ横ばいで、65歳以上の人が増えて労働年齢の人口が減ることがわかります。

ふえる社会保障費が、今後さらに増加すると想定され、これをまかなうのに考えられたのが消費税である、ということが説明できればOKですかね。

正答率は24%。約半分が部分正答なので、全体の4分の3は得点できているので、歴史の中ではまだマシなほうですね。

歴史的事象の背景「なぜ?」の精神

歴史は中盤の問題からガタガタと崩れ始めました。
確かに、「税と政治」というなかなか渋いテーマで攻めてきたので、難しかったかもしれません。

歴史を突破するために大事だと思うのは二点。そのうちの一点は、「なぜ?」と追及してそれを覚えることです。
「株仲間」を覚えるだけではなく、「株仲間って何?何のためにあるの?」と2つくらい掘ること。全部をこなすのは難しいかもしれませんが、なるべくこれを行う。

あともう一点は、時代の横断です。
農民・庶民の反乱だけでも、「乱」「一揆」「土一揆」「国一揆」「打ちこわし」「ええじゃないか」「焼き討ち」など、言い方がたくさんあります。
これを、ていねいに時代に合わせて切り替えること。これが大事です。

「土倉」「馬借」このあたりもチェックしておくとよいと思います。

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