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たまに、過去の公立高校入試に向けての分析を、備忘録的にまとめていきます。
今回は平成31年度数学について掘り下げた記事です。

平成31年度大問分析

大問1:計算(4問)+小問(4問)
大問2:小問集合(3問)
大問3:「花だん」の活用問題(2問)
大問4:図形の活用問題(2問)
大問5:図形の応用問題(1問)
大問6:関数の応用問題(2問)

2018年度からの変更点

トータルの問題数自体は変化ありませんが、計算問題が1問増加しました。また、毎年最終設問にしてあった証明問題が、中盤に登場しました。
細かい形式変更がどう受験生に影響を及ぼしたかはわかりませんが、驚いた生徒は多かったのではないでしょうか。

平成31年度の数学は平成30年度と比べると、解きやすい問題とそうでない問題がかなりはっきりしているため、全体としては昨年とほぼ同じ難易度であったとみてよいでしょう。

大問詳細分析

大問1・2 計算+小問集合 (大問1は各2点、大問2は各3点、合計25点)

大問1の計算問題、小問集合は、何のひねりもない単なる小問です。
(1)正負の加減
(2)多項式の除法
(3)連立方程式の計算
(4)平方根の計算
(5)球の表面積を求める
(6)正五角形の1つの内角の大きさを求める
(7)反比例の式を求める
(8)3枚の硬貨を同時に投げて1枚が表になる確率を求める
どれも、定期テストに出ても得点できるタイプの問題。ここは正直落としたくはありません。

大問2については、3問それぞれに少しだけひねりを加えています。
(1)円周角を求める→等しい弧の円周角が等しいこと
(2)放物線の比例定数を求める→文字を使って座標を表現
(3)表に加えた1人の記録を求める→中央値の考え方
一筋縄ではいきませんが、入試対策として多くの問題に当たっている受験生なら、さほど苦しむことなく次へ進めたのではないでしょうか。

この2つの大問については、昨年・一昨年よりもさらに解きやすくなった印象があります。

大問3 「花だん」の活用問題(合計8点)

ここは、数年来会話文を含めた「活用型問題」を採用しています。設問としては2問で、昨年よりも1問減りました。

(1)は、会話文の穴埋め。
図と説明の条件を読み取り、図にかき込むことで解きやすくなります。問題自体は、2次方程式の応用問題として「よくある」ものなので、数学の定期テストで8割をコンスタントにとる受験生なら難なく解けます。

(2)も、会話文の穴埋め。
今度は、「√41」の小数第1位の値を求める問題です。
実際には、教科書にも載っているようなタイプの問題ですが、「平方根とは何か」の根本原理を理解していないといけないことと、答えを求める過程を記述させられることで、難易度がぐんと上がっています。正答率は低めと予想します。

大問4 図形の活用問題(合計8点)

(1)に証明問題が移動してきました。
内容は四角形が平行四辺形であることを証明すること。証明のスタートに書いてある、「点Eは辺ABの中点、点Fは線分ADの中点だから」という文言から、中点連結定理を利用することがひらめけば、この問題はさほど難しくありません。

むしろ、(2)の選択問題のほうが骨があります。
「四角形がひし形」になるために書き加える条件を選び出す問題で、ひし形の性質及び二等辺三角形の性質も同時に利用する必要があるため、これはかなり難しいです。選択問題ではありますが正答率はガタガタでしょう。

5つの選択肢から2つ選びださないといけないので、当てずっぽうで入れると確率は1/10。まぁなかなか当たらないでしょうね(笑)

大問5 図形の応用問題(4点)

広島らしからぬ、どストレートな図形の問題です。
求めたい線分の長さをxと置き、「折り曲げてできる図形は合同である」ことを利用すれば、あとは計算ミスに注意するのみ。答えを求める過程を書かされるので、部分点もある問題ですが、ここは4点満点をきっちり狙いたいですね。

大問6 関数の応用問題(合計5点)

2本の直線が交わるタイプの応用問題です。
(1)は拍子抜けするくらいの簡単な問題ですが、(2)は「格子点問題」というタイプの問題で、難しいです。ていねいに点を追いかけないと難しいです。

まとめると…

繰り返しにはなりますが、平成31年度は
・大問1と大問2の難易度が昨年よりも低かったこと
・昨年までに比べ「活用型問題」の活用度が少し小さくなり解きやすくなったこと
・証明の後の問題が珍しいタイプで難しい問題だったこと
・過程を記述させるのに慣れていない生徒が多いと考えられること
を踏まえて、平成30年度と同じくらいの難易度だろうと予想しています。

上位高校受験生は、小問集合は1問も落とせませんし、それ以降の応用問題も取りこぼしができない、「ハイスコア」での勝負になろうかと思います。
一方、中堅層以下の高校では、小問集合や大問6(1)のような問題で落とさなかった生徒が有利に運べるタイプの問題でした。

未来の受験生へ

最後に、これから受験を迎える未来の受験生に数学のアドバイスをしておきます。

広島県の入試は、配点が50点満点です。2019年度は17点分、2018年度は25点分が、図形がらみの問題です。図形問題のうちの半分は、3年生の後半で習う単元です。
つまり、上位の高校を狙う生徒が数学で高得点を狙うためには、中3の夏以降に習う図形分野をどれだけ鍛えておくかがカギです。

一方、数学があまり得意ではなく、勝負は別の教科にある、という受験生にとっては、大問1・2の25点分をいかにミスなく拾えるかが最大のポイントです。
ここの問題は、多くが1年生・2年生で習った単元です。できるだけ早く、小問集合タイプの問題にあたって、手っ取り早く「公式」を使って解けるようにしておきましょう。

入試は「先行逃げ切り」。早く手をつけた人が、自分の志望校に近づきますよ!

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