報道の通り、募集停止が決定。
2021年1月15日の広島県教育委員会で、県立高校の再編整備が話し合われました。その結果、以前報道に合った、安芸高校と呉昭和高校の募集停止が正式に決まりました。
募集停止は令和4年度、つまり現中学2年生が受験するタイミング。今年度受験する生徒が、最後の入学者ということになります。
母校がなくなる寂しさ、悲しさ…。
卒業生の方や在校生の方の気持ちはやるせないだろうなぁと思います。
少子化の流れ、時代の流れからして、仕方のない部分もあるとは思います。県教委も苦渋の決断ですね。
このブログは、公立高校入試の記事を書くブログ。今回の記事は、呉昭和高校の募集停止の背景と、それに伴う影響について、私なりの考えをまとめて書いてみようと思います。
あくまでも、私の勝手な推測、私見ということでご容赦ください。
関連記事
安芸高校と呉昭和高校の話
呉昭和高校の募集停止の背景。
呉昭和高校は、安芸高校と同様に、人口が急増し、中学生が多いということから、昭和58年度に新設された高校です。この当時の呉市内の中学3年生はとても多く、在籍数は昭和61年にピークを迎えました。しかし現在、ピーク時の3分の1の人数まで激減し、呉市内(広地区も含む)の高校が、普通科高校でもちょこちょこ定員割れするようになってしまいました。
地域トップ校の呉三津田高校でさえ、数年に一度定員割れを起こすことがあります。
安芸高校のときも書きましたが、平成26年に、県教委は県立高校再編のガイドラインを出していて、「都市部の高校は、1学年4~8学級(160人~320人)の範囲内を基本とする」ことが示されています。
呉昭和高校は令和3年度の募集定員が2学級(80人)です。呉昭和高校の近隣にある2中学校は、呉市内にも熊野の方にもその受け皿となる高校も存在することから、このガイドラインにのっとって統廃合が行われることになった、というわけです。
呉昭和高校の3年分の倍率推移
選抜Ⅰ | 選抜Ⅱ | |
令和2年度 | 1.38 | 0.77 |
平成31年度 | 1.25 | 1.06 |
平成30年度 | 0.81 | 0.74 |
これを見ると、選抜Ⅱについては、ここ3年で2回定員割れを起こしています。昨年の入学者数は63。選抜Ⅰ・Ⅱともに定員割れを起こした年の入学者は56。2クラスにしても1クラスの人数が30人に満たないので、ちょっと難しい学校経営になってしまいます。
呉昭和高校がなくなったら
呉昭和高校が募集停止してしまった場合、志望していた受験生はどこへ向かうのでしょうか。
呉昭和高校の場合、倍率で一番影響を受けそうなのが、熊野高校です。もちろん、呉市内の宮原高校や呉工業高校にも志願者が流れそうですが、地理的にも偏差値的にも、熊野高校が一番ターゲットにされそうです。
呉昭和高校は、呉市の焼山に位置します。近隣の中学校は2校。ピーク時は、約750人の卒業生がおり、そのうちの約20%が呉昭和高校に進学していました。クラス数も多く、倍率も高かったようです。
昨年度は、2校の卒業生が約300人。ピーク時の半分です。呉昭和高校に進学する生徒がその10%程度。40人しか進学せず、地理的に呉市内から志望する生徒が少なめのため、定員割れを起こしやすくなります。
呉市内の中3生がピークを迎えていた昭和61年の卒業生の進学高校は
- 約33%が私立高校・高専
- 約18%が近隣ではない公立高校(呉商業などはここに入っていると思われる)
- 約17%が呉昭和高校
- 約16%が呉三津田高校
- 以下、宮原高校、呉工業と続く
この当時は、学区がある時代でした。が、呉市内は1つの学区ですので、安芸高校ほど大きな影響はありません。ただ、熊野高校が学区から外れていたので、ほとんど進学実績はありませんでした。
昨年の卒業生の進学高校は
約30%が私立高校・高専
約18%が近隣ではない公立高校
約13%が呉昭和高校
約12%が熊野高校
以下、呉三津田高校、宮原高校と続く
学区制が廃止されたあとから、熊野高校に進学する生徒がガンと増えました。距離的には、呉市内に行くこととさほど変わらないことから、「手ごろな偏差値」の高校として、注目され、その結果呉昭和高校の志望者数を減少させてしまったということが言えそうです。
呉昭和高校の募集停止によって、熊野高校を志望し、受験する流れが大きくなりそうだと考え、影響を最も受けるのは、熊野高校ではないかという結論でした。
数年間は流動的だと思っておくこと。
安芸高校にせよ、呉昭和高校にせよ、「募集停止」というショッキングなニュースは、少なからず地元に動揺を与えます。
どの進学先が適切か、偏差値や大学進学だけでなく、実際に3年間通学するのが苦ではないかという視点からも、数年間は受験生の志望先・受験先が定まり切らないことが予想されます。
進学先の予想をしておいてなんですが、「○○高校の志望者数が今年は多いらしい」みたいな情報は、あまり鵜呑みにしないようにしてください。
どこ発生の情報かわからないものは、(私のように)ワイワイと騒いでいるだけかもしれませんから。