令和4年度広島県高校入試分析・国語

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分野・配点と簡単な所見

大問別の分野・配点は以下の通りです。

大問1:物語文(16点)鈴村ふみ「櫓太鼓がきこえる」

数年ぶりに、現代小説がかえってきました。今回の問題は鈴村ふみさん。第33回小説すばる新人賞を、この「櫓太鼓がきこえる」で受賞された方です。
相撲の呼び出しの見習い視点から書かれた「仕事小説」と紹介されるこの本は、難しい単語があまり出てこない(もちろん、相撲用語があるのでなじみがない受験生も多数いたと思うが)ので、ここ数年の時代小説よりは読みやすかったかなと思います。

ただ、面食らっただろうと思われるのは問題の方。
「小説の一部を演じるための台本を作成する」という、なかなかに異色の問題が2問出ています。
心理描写や気持ちの移り変わりをきちんと理解できているかを確認する。

私は面白い問題かなと思いますが、見た目が変わりすぎていて賛否両論ありそうな設問でした。

大問2:説明文(14点)田中修「植物のいのち」

説明文は、昨年と違って自然科学系、生物の説明文でした。
作者の田中修さんは、甲南大学の名誉教授をされているほどの有名な方。ここ数年の芸術系の抽象的な文よりは読みやすかったのではないかと思います。

最終設問の2つの小問は、直接問題文に書いてある以外に、与えられたもう一つの文章を読んで答える、昨年と似たタイプの問題です。

でも、昨年はかなり抽象的で読みにくかったことを考えると、昨年よりはやや簡単なのではないか、と考えています。

大問3:古文(8点)「菜根譚」

漢文でした。何年振りでしょうか。
よって、例年出題されていた「歴史的仮名遣いの直し」は、「書き下し文を記述」に変わりました。
しかも、傍線が引っぱってあって『これを書き下し文に』ではなく、自分でどこを書き下すかを探さないといけない。少し手間がかかる問題ですね。

それ以外は、漢文の要素というよりは、問題文が言いたいことをくみ取って、それを利用して文章を書くみたいな流れです。

3つの大問すべてに言えることですが、要求される文字数がやけに多いです。

大問4:作文(12点)「読み聞かせに使う絵本はどんなのがいい?」

保育実習についてのノートと、資料が2つ与えられており、それをもとに4人の生徒が会話(話し合い)をしています。
一通り話が進んで、『青木』なる人物の発言を考えて書きます。250字以内です。

作文の書き方の知識は必要なく、『合意が形成できること』という1点だけあっていれば大丈夫。
話し言葉でもOKです。

昨年や一昨年よりは書きやすかったのではないかと推測されます。

昨年との違い

配点変更

漢字の問題が、読み3問書き3問の合計6問になりました。数年前と同じ形式です。
どの漢字も難しくはないです。中学1年生までの漢字をきっちり覚えていれば、簡単に得点できます。

あとは、配点に細かく手が入れられています。
昨年まで15点配点だった大問1と大問2が、それぞれ16点、14点に。
10点あった大問3の配点が2点削られて、大問4の作文に充てられました。大問4に12点の配点が。ちょっと大きくなりすぎかな…4分の1が作文の得点だよ…

難易度

小説・説明文は読みやすくなりました。読み取りに時間はかかりません。
ただ、台本を書くスタイルと、漢文は今までの傾向から崩してきているので、昨年と同じくらいの難易度とみていいかなと思います。

平均点等

とはいっても、平均点は上がると思います。23~24点くらいが妥当な線だと思います。

国語は、勉強をはじめてすぐに得点アップが期待できる教科ではないので
もしかしたら大した対策をとっていなかった受験生が多いかもしれません。
そのような受験生が失敗する可能性、ズバリ「時間配分」です。

この形式の入試になってから、すべてのカギは最後の作文です。
作文に、実に12点の配点が割り振られます。国語の配点の2割強を占め、全教科の中でも最高配点です。
この問題を0点にすると、どんなにがんばっても国語では40点が取れません。
これは、大きな差になっちゃいます。

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来年度以降に向けての勉強

となると、国語の入試対策勉強で大事になるのは、
どれだけ速く読むことができるかどれだけテーマに沿った知識を持っているか、あとは作文力
この3つになります。

お分かりと思いますが
どれも、今日勉強を始めて、1か月後にできるようになっているようなタイプの力ではありません。
このレポートを目にした人は、今この瞬間から始めてください。

・毎日1本入試問題を解いてみること
・毎日の日記に力を入れて書いてみること

この2つだけ、始めてみてください。
他教科と違って、国語は1年生でも2年生でも、入試問題を解きはじめることができます。
ぜひ、チャレンジしてください!

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