この記事は、令和4年度広島県公立入試・数学の問題について、解いてみての印象と分析について書いたものです。
数学は専門教科なので、少ししっかり目に解いて内容チェックしました。
入試後の手ごたえチェック、令和5年度以降の入試の参考にしてみてください。
分野・配点と簡単な所見
大問別の分野・配点は以下の通りです。
大問1:小問集合(16点)
純粋な計算問題が4問に戻りました。内容は昨年とほぼ同じで、2次方程式は出題されず代わりに因数分解でした。
残りは、図形問題・関数問題・確率の問題と、バランスよく配置されています。
ここの16点は確実に手に入れたいところです。
大問2:小問集合(10点)
比の入った連立方程式の問題、四角すいの側面に最小のひもをかける問題、箱ひげ図から読み取れることを選択する問題の3問でした。途中式を書いたり、説明したりする問題がありません。
だからといって簡単になっているとはまったく思えず、
(1)…そもそも連立方程式を立てるのが大変
(2)…補助線・新たな図をつくり出すのが大変
(3)…そもそも箱ひげ図の意味がきちんとわかっていないとまったく解けない
という、それぞれに「ひっかかる」ポイントが用意されているので大変です。
ここで時間を食いつぶしてしまう受験生は多かったかもしれません。
大問3:放物線と直線(5点)
関数のグラフ問題がここにきました。
放物線と直線についての問題ですが、実はさほど手間もかからず難しくありません。
1問目は面積から底辺の長さを出すことができれば、2問目は座標を文字に置いて正方形であることを利用すれば、難なく解くことができるはずです。
ここを落とすと、難関校に黄色信号?かもしれません。
大問4:相似の証明(5点)
証明問題をここにもってきました。
テーマは相似。錯角や角の二等分線を利用することがわかるかどうかです。
難しくはありませんが、少し手間はかかるので「簡単だよ」とは言いづらいどころですね。
先ほどの大問3もそうですが、思った場所に思った問題がないだけでも、実は精神的に動揺するのが受験というもの。
この2題も、つい数年前までは大問5・6の定番でしたし、昨年は証明が大問6、グラフは大問4でした。
来年以降受験する方々は、このことも肝に銘じておいてほしいです。
傾向は絶対的なものではなく、あくまで過去のデータ。来年はどうなるか分からない。
大問5:ドローンを使った関数問題(7点)
昨年同様、日常活用系の問題が大問5と6に入りました。
大問5は、ドローンを利用した宅配サービスというテーマの問題。昨年に引き続き、とても工夫されたテーマだなと感心しました。問われている内容はがっつり数学ですが。
1問目はさほど難しいとは思いません。計算は少し大変ですが。
2問目は、落ち着いてグラフを描くことができれば難しくはないと思うのですが、この手の説明問題は過去あまり出題されたことがないので、練習が手薄になっている可能性はあります。
なんでも練習しておかないとだめだよ、というメッセージを受け取りました。
大問6:確率(7点)
ルールを読み取るのに時間がかかるかもしれません。
(1)を解くためにルールを確認し、(2)を解くときに新しいルールが追加(差し替え)されるので、また情報を整理し直さないといけない。
確率の問題としてみれば、よくあるパターンの難しくない問題ではありますが、整理し活用し解答するまでの道のりが遠くて大変です。
昨年との違い
大問移動・配点変更
第3問にグラフ問題、第4問に証明問題と、昨年とは違う構成を作ってきました。
実は問題数も2問減ってます。
見た目の違いは、受験生に動揺を与えます。思いがけないところでミスしたり、解くのに時間かけすぎちゃったり、想定していたものではない気の使い方が必要になります。
細かいところで言うと、証明問題に5点(例年は4点)与えられているとか、説明問題には4点(例年は3点)与えられているとか、1問の配点が大きくなっています。
普段から、「なんでもあり」と認識して解くべきかもしれないですね。
難易度
問題は全体的に、昨年に比べて易しくなったと思います。
計算問題の増加と説明問題の減少。
日常生活活用型の問題は、昨年よりもやりやすくて、「簡単だった」という受験生が多数いるような気がします。
数学が得意な生徒にとっては、50点満点獲得まで見えてくる問題群。難関校は数学で差がつかないかもしれません。
一方で、数学があまり得意ではない受験生にとっては、大問1以外で得点できそうなところが実はあまりありません。各設問の1つ目の問題がその候補になるでしょうが、多種多様なパターンの問題が用意されているので、果たして体力が残されているか。
解ける問題と解けない問題の差が激しく、解けそうな問題でも時間を無用に失う(特に大問2の部分)可能性は大いにあります。
平均点
それゆえ、平均点は、昨年(21.1点)と同じくらいで推移しそうです。22~23点くらいでしょうか。
来年度以降に向けての勉強
まずは、大問1の計算・小問集合に合わせた対策をすべき。
教科書の問題でいいです。たくさん解いて問題に慣れる必要があります。
たくさん宿題が出てるでしょうから、それをしっかりがんばることから始めましょう。
小問集合対策には
私の作成した「MATHREAD」も使えますので
ぜひチェックくださいね